紛争やテロの被害に遭うことの多いイスラエル。
イスラエルでは、その犠牲者となりトラウマを抱えた人たちへもスヌーズレンが活用されているという。

ここでは、2014年8月に開催された「子どもへのスヌーズレン (セラピー)活用に関するシンポジウム」においてイスラエルの作業療法士、Dr.Michele Shapiro氏が講演したレジュメを元に、スヌーズレン環境とトラウマの関連について紹介していく。

まず、Dr. Michele Shapiro氏について紹介しよう。

Dr. Michele Shapiro氏は、スヌーズレンのスペシャリストとして実践と研究を続けてきた、世界にも名高い作業療法士である。
イスラエルをはじめ、国外でも精力的に指導を行い、彼女の指導を受けた現場のケアスタッフは3000人にものぼる。
支援が必要な人々に関わる社会政策に変革を起こしてきたイスラエルへの功績が認められ、2002年にはイスラエルの作業療法士学会から表彰、2008年にはエルサレムの都市文化的・教育的に貢献をした人に年に数名しか贈られないYakir Zion賞を受賞している。

イスラエルにおけるスヌーズレンは、彼女がリードしてきたこともあり、作業業療法士が提供する治療行為として位置づけられている。
「治療」と言っても療法士が主体となり患者へアプローチをするのではなく、療法士はスヌーズレンのコンセプトを壊さぬようあくまで「スヌーズレンの物理的環境」をコントロールしながら、“患者の自発的な行動”を引き出すことで治療につなげている。
彼女によると、スヌーズレンの環境が有効な対象者は大変幅が広い。
その中の1つのグループが「危険やストレスにさらされた子どもたち」である。

Michele氏は、スヌーズレンの環境はPTSDによる症状の緩和に効果があると語った。


□□PTSDとは?

スヌーズレン活用の可能性(1)

では、PTSDの診断基準はどのようなものなのであろうか。

スヌーズレン活用の可能性(2)

以上の3つが挙げられる。

「FFF症状」という言葉は耳慣れない人も多いであろうが、「高い覚醒状態」のことをそう呼ぶのだそうだ。

では高い覚醒状態が持続すると人間はどうなるのであろうか。

スヌーズレン活用の可能性(3)

このように、日常生活では見られなかった症状が現れる。
Dr.Michele Shapiro氏は、スヌーズレンの環境はこうした症状を緩和することにも有効なのだと語った。


□□スヌーズレン環境とPTSD

トラウマを抱える被害者にとっての基本原則は、“安全と安心” であるが、スヌーズレンの環境はそれと同様、穏やかで安全・保護的な環境である。

さらに、スヌーズレンの環境は「その利用者に合わせて感覚刺激を調整することができる」ことが最大の特徴である。
外からの刺激を調整することにより患者のFFF症状を制御していき、「今あなたはここにいる」ということを認識させていくことに役立つのだ。
そして、患者が外から受ける刺激を正しくコントロールし、身体認識の再発達を助けることができるのだという。

スヌーズレン活用の可能性(4)


2014.8.7 Relax’Creation project主催 「子どもへのスヌーズレン (セラピー)活用に関するシンポジウム」より )







【東日本大震災の被害にあった地域における移動スヌーズレン車巡回】 2011.7

2011年3月11日に起きた、東日本大震災。 「子どもたちの心のケアが必要」「眠れない方がいる」という情報をニュースで耳にする度、私たちとしても何か届けられるものはないだろうかという思いからリラックスしやすい雰囲気のホワイトルームに似せた空間をハイエースに再現し、岩手県釜石市の仮設住宅を移動スヌーズレン車で巡回しました。

スヌーズレン活用の可能性(5)

日光や車の振動等、極力車中にある感覚刺激グッズ以外の刺激は排除するよう心がけ、思い思いに過ごしていただきました。

スヌーズレン活用の可能性(6)

この時は3日間を通して、老若男女を問わず、21組43名の方がスヌーズレンルームを体験されました。


スヌーズレン体験者の様子より

     ★中のおもちゃで遊んだ  20名の子ども+保護者9名
     ★仮眠をとられた方    5名
     ★ハンドマッサージを受けた方  5名
     ★ゆったりすごされた方 3名
     ★その他 1名


子どもは保護者やスタッフとスヌーズレングッズの光・音・振動を楽しむ子が多く、大人同士でいらした方は、うとうと仮眠をとられた方が多い結果となりました。

中には「震災後、よく眠れない」、「子どもが夜泣きするようになった」とお話してくださった方がいらっしゃいましたが、ほんのひと時でも現実を忘れることのできる時間になったようです。
また、車外でお話をしていた時は固い様子だったお母さんが、車内では心を開いてくださったかのようにポツリポツリと話しはじめてくださり、最後には笑顔になってくださったのがとても印象的でした。

震災直後のこの時期は、仮設住宅の場所によっては一歩外に出ると被害を受けた街並みが広がり子どもたちが遊べる場所は全くなく、人々が現実を忘れられる「安全・安心な環境」が子どもたちの身近にはありませんでした。

スヌーズレンがもっと広がっていけば、このような地域において少しでも早くストレスから解放され、心穏やかに過ごせる方が増えていくのではないかと強く感じた出来事でした。

※ この活動の様子はNHKボランティアネット、雑誌ecocoro にも掲載されました。



                         
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